2014年3月2日日曜日

スラロームの基礎を考える ポールセットの覚え方

「私の大好きなスラロームの草レースの絶滅を回避するため、地道な普及活動のていをとりながらあれこれメモを書き、自分の考えを振り返ってみようかと思います。」
の一環として、スラロームを意識したポールセットの覚え方を考えてみます。

(2014/03/04加筆修正)
(2014/03/06加筆修正)


■はじめに
先日、かいぞートレーニングに参加してもらった方の素朴な疑問として、
「ポールセットが複雑で覚えられない。どうやって覚えるの?」
という話をいただきました。
もっと、フリースキーやポールの通り方なんかを話してから書きたかったネタではありますが、えいっと書いてしまいます。
たしかになんの工夫もなくこれを覚えるのはなかなか難しいなぁと思い、試行錯誤でたどり着いた私の覚え方です。

まず、私の中のスキーの神様である「海和俊宏」さんの著書、「海和俊宏のスラロームテクニック」に書かれていたことがベースにあります。この本では、踏み上げインスペクションの時代(昔はゴールから登ってインスペクションをしたんです)のコツとして、1旗門登るごとにゴールまでの滑走ラインを繰り返しイメージし、60旗門なら60回頭の中で滑ったというやり方が紹介されていました。今はワールドカップでも上からのインスペクションですが、頭の中で繰り返すという基本は変わらないのでしょうね。

ただ、これだけだと漠然としているのでもう少し何を考えているのか、最近(といっても20年ぐらいはたつ)の私の覚え方をメモしてみます。

■私のスラロームでのインスペクションのやり方
私がインスペクションで意識しているのは、
「まず地形を覚える」「ブロックごとに覚える」「滑っているイメージを作る」
の3つです。

「まず地形を覚える」
急斜面、緩斜面などの斜面変化がどこにあり、どの部分はライン取り重視で安全にいき、どの部分は真っ直ぐ目に入るのか、そのつなぎ目では何をするのか、といったことを決めます。

あとは、セットのラインを考えて、スキーを切り替えるところで斜面が落ちていたり、ターン後半から斜度が増しているような、無視して滑ると身体が浮いたり、つぶされたり、後傾になってしまうところをあらかじめ探しておき、滑るときの対策を滑る前に具体的に決めてしまいます。「ここは気をつけよう」では、気をつけることは出来ても対策を繰り出す前に通り過ぎてしまいます。そしてたいてい失敗します。


「ブロックごとに覚える」
スラロームのセットはたいてい同じリズムが続くブロック、もしくはリズム変化のブロックの組み合わせで構成されています。ショートカービングのスラロームになってから、よりこの傾向が鮮明だと思っています。

たとえば、
  • スタートしてから最初の6旗門は同じリズムのオープンが立っている。
  • スルーゲートがある。
  • 次の8旗門はオープンだけど、さっきより縦長に立っている。
  • ストレートが立っている。
  • 次の10旗門はオープンでリズム一定だけど、途中に斜面変化ありで急斜面へ。
  • ヘアピンが立っている。
  • オープンで4旗門
というように、リズムがそろったブロックが並べてある感じです。
同じブロックの中はリズムが一定だったり、定型化されたリズム変化なので、一個ずつの旗門を覚えることはあまり重要ではなく、リズムに乗ることが大事です。そしてリズムの切り替わる次のブロックでも、その新しいリズムに乗って滑ることが大事なので、どんなブロックがあり、その継ぎ目、構成がどうなっているのかにポイントを置くと、抽象化されて覚えることが減るので意外と頭に入りやすい気がしますし、セッターが何をさせたいのかが見えてくる気がします。

この原則に沿っていないことも時々あるのですが、それはまた別エントリーで書きます。


「滑っているイメージを作る」
これらの分析をしながら、スタートからインスペクションで降りてきたところまでを、滑っているイメトレをします。もちろん、そこまでに決めた対策も入れてです。カッコよくゴールできればバッチリです。



■まとめ
特に「ブロックごとに覚える」というのが、誰も教えてくれなかったけど、私が試行錯誤でたどり着いた結論です。
他にも色々細かい話はあるのですが、基本的に汎化して誰にでも共有できそうなレベルだとこんな感じです。

さらに、ストレート、ヘアピン、スルーゲートの攻め方をあらかじめ練習しておいて自動化(何の苦も無くするすると抜けられるように)しておくと、この「ブロックごとに覚える」方法がなじんでくると思います。

あとは、練習のときにインスペクションをして、1本目で滑るときにどれくらいインスペクション通りに滑ることが出来るのかをチェックするのが大事です。2本、3本と滑れば上手く滑れて当たり前なので、インスペクション能力を鍛える意味では1本目が大事です。

つっこみどころはたくさんあると思いますが、こんな感じでどうでしょう?
地形を覚えるのは難しいので、滑り慣れたコースはやっぱり楽です。本当は大会前にコースをフリーで滑って地形だけでも覚えておきたいところですが、現実にはなかなかその時間も取れず。結局全部インスペクションでやっつけています。

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