2014年3月4日火曜日

どんなセットだとスラロームは面白いのか

スラロームの基礎を考える ポールセットの覚え方というエントリでの脱線話を独立させました。

スラロームの基礎を考える ポールセットの覚え方というエントリでは、
「スラロームのセットはたいてい同じリズムが続くブロック、もしくはリズム変化のブロックの組み合わせで構成されています。ショートカービングのスラロームになってから、よりこの傾向が鮮明だと思っています。逆に、全部のターンが不規則に立っていることはまずありません。」
と書きました。これは異論の無いところだと思います。

この原則を無視すると、コースも荒れるし、結果も荒れるので普通はしないのです。
ところが、ソチのスラロームの2本目はこの原則を無視したすごいものでした。
毎ターンリズムが違うとか、リズム変化を続けて入れるとか、気持ちよく入らせないとか。

参加する側からすると、ゴールは出来るけど上手い人とのタイム差はつく、というコースになっていると比較が出来て面白いんですよね。私達のレベルも含めやっぱりゴールはさせてもらった方が楽しいですし。
記憶をたどると、昔のオリンピックでは、ゴールさせるためにワールドカップより若干簡単なセットが立つ傾向があったと記憶しています。

とはいえ、私はアンテ・コステリッチのセットを批判する気は無いです。あれもスラロームですよ。
どんなセットでも上手いヤツが速いのですから。結果はそうなっていましたし。

毎回あんなんだとさすがにびっくりしますが、
「こういうセットがあってもいいじゃない?だって最高峰なんですから。」

と滑る人の気持ちを忘れて観戦する気持ちで思ったりします。


私がスキージャーナルを食い入るように読んでいた頃に編集長だった田草川さんのサイトにも記事がありますね。

2014年3月3日月曜日

GoPro 高解像度版もアップしました(レールターン)

解像度を落としたらあまり細かいところが見えませんでしたので、高解像度版をあげてみました。
そうか、FullHDにはならないんですね。でも、HDを選ぶと細かい動きも見えます。

この動画、レールターンをしてる様子がよく見えて気に入っています。
最初の身体を一本の軸にしながらエッジを切り替えて滑っているところと、
途中から谷側に身体を入れて深回りでぐいぐい回しているところが、
しっかり写っていて見えるのが楽しいです。

タイトルはGoProをみてChaserにしたけど、私目線だとRunawayだったな。



スラロームの基礎を考える マテリアル編 その7 (選手用スキーを使う?)

よく言われている話ではありますが、これを書き忘れるとまずいという話を最後に付け加えます。

「利用者の想定を絞る代わりにとんがった性能を持たせているわけです。」
とも書いた通り、選手用のスキーは割り切った設計になっています。

その端的な例が耐久性です。
セカンドモデルやデモ系のスキーは、補強を目的にトップシートの下にメタルが入っています。コレのおかげでエッジがぶつかってもスキー板が壊れたりしないし、こぶに入っても曲がらずに耐えたりしています。

選手用のスキーは、この補強を目的としたメタルが入っていません。これを入れるとフレックスが損なわれてしまうので、壊れにくさよりも、限定的な条件での性能が優先されているわけです。なので乱暴に扱ったり、なんかの弾みで大転倒したりすると、あっさり曲がったりします。

ということで、これだけは覚悟の上で使わねばなりません。というお話です。

スラロームの基礎を考える マテリアル編 その6 (選手用スキーを使う?)

スラロームの基礎を考える マテリアル編 その5で「フレックスの傾向も大きく違うのですが、それは長くなるので別エントリーで。」とネタを振ってしまった、フレックスの話。

選手用のスラロームスキーは、速く滑ることを目的に作られているので、セカンドモデルに比べると、フレックスも硬く、返りが速く設計されています。

これは、正しい使い方を練習で身につけた人を対象に、体力も鍛えてある選手を対象に設計されている、ということを意味しており、利用者の想定を絞る代わりにとんがった性能を持たせているわけです。はっきり言えば、未熟な技術を救済することに重きを置いていないので、どこに乗ってもスキーがたわんだり曲がったりするように作られていません。
「正しく使え!身体を鍛えろ!話はそれからだ!」
という作りなんです。

あれ?じゃあ、選手並みに身体を鍛えないと使えないの?というと本当はそうなのですが、抜け道も実はあるんです。それは最後に書きます。

この正しく使うというのは簡単には語り尽くせないのですが、大原則としては、
・スキーの真ん中に乗り、
・ターン前半でスキーをたわませて圧をためながらカーブし、
・ターン後半で圧を解放して次のターンに入る
という辺りだと思います。

特に、ターン後半での抜けをよくするため、テール部分のサイドカーブは緩く、細くつくってあります。なので、ターン後半で圧を加えてもグリップはすごいですが、もうたわみませんし、大してスキーは曲がりません。もともと設計段階からターン後半で曲がる気も無いのですから仕方がありません。

ターンを作るのは谷回りの役割となっていてい、スキーの前半分を使ってカービングをするとスキーがぐいぐい曲がる設計になっています。そして、ここでしか原則たわみません。
なので、スキーが下を向く前にターンを作れる動きが必要になります。

まとめると、ターン前半でトップを食い込ませルぐらいのポジションでカービングし、ターン後半は曲がり終わったターンを仕上げるだけ、というぐらいの滑りに変えていかないと、曲がらないし、ずらすと疲れるつらいだけのスキーになってしまいます。
上記の通りの滑り方をするとスイートスポットは狭いですが、ちゃんとたわみます。

また、フレックスが硬いというのは、返りを速くするための結果です。
つまり、選手がすごい勢いでたわませたスキーは、次のターンに入るために鋭く速く返ってきてほしいわけです。ここがのんびり返ってくるようではターンのリズムが速くなりません。なので、たわませた後の返りの速さ、強さに対応する必要があります。
このとき、ポジションが後ろ気味では、速くて強い返りに振り回されてバランスを崩してしまいます。ここはテクニックと筋力の両方が要求される部分だと思います。

さて、こうなると選手用のスラロームスキーなんて手強くて手が出せないじゃないか、という話になるのですが、本質的にはその通りなんです。あれは屈強な選手達が使うための道具なんです。

しかし、私達が使うための抜け道もあるのです。
それは、実は簡単な手立てですが、成人男性が女子選手用を使うとか、成人女性がジュニア用を使ってしまうとか、一段ランクを下げたスキーを選んでしまうということです。
鍛え上げた選手達と同じ筋肉量ぐらいか、似たような体重にすれば選手用のスキーといえどもちゃんとたわむので、それを選んでしまうのです。こうすることによって、選手用スキーの良さを味わうことが出来ます。

慣れてきたら男性が男子選手用を、女性が女子選手用を選ぶのは否定しません。
なぜなら、市販の選手用は、ほんとのトップクラスの選手用ではなく、高校生から大学生ぐらいが使うレベルのものが販売されていることが多いのです。
なので、私達でも正しい使い方を覚えれば、履けないことはありません。

私が最初に手に入れた選手用のスラロームスキーは、156cmで女子用でした。
これは当時72kgだった私の体重を持ってすれば、いくらでもたわますことができたので、「正しい使い方」を勉強するには最高でした。使い方がわかってきてからは、たわみすぎたりして怖くなってきたので男子用選手用に変更しました。より乗り方がシビアになりましたが、楽しく乗れているつもりです。

ヤフオクなんかでも安く手に入るのでスラロームに挑戦するなら、選手用のスキーを選んでもいいと私は思います。

ただし、正しい使い方を教えて貰えるあてがあるならば、という条件がつきます。
それと、チューンナップはきちんとされていないとびっくりするほど性能が発揮されません。これも結構面倒なところかもしれませんが、これも条件に加わります。

面倒な部分もありますが、そこを理解して使えばいい武器になりますよ。

2014年3月2日日曜日

スラロームの基礎を考える ポールセットの覚え方

「私の大好きなスラロームの草レースの絶滅を回避するため、地道な普及活動のていをとりながらあれこれメモを書き、自分の考えを振り返ってみようかと思います。」
の一環として、スラロームを意識したポールセットの覚え方を考えてみます。

(2014/03/04加筆修正)
(2014/03/06加筆修正)


■はじめに
先日、かいぞートレーニングに参加してもらった方の素朴な疑問として、
「ポールセットが複雑で覚えられない。どうやって覚えるの?」
という話をいただきました。
もっと、フリースキーやポールの通り方なんかを話してから書きたかったネタではありますが、えいっと書いてしまいます。
たしかになんの工夫もなくこれを覚えるのはなかなか難しいなぁと思い、試行錯誤でたどり着いた私の覚え方です。

まず、私の中のスキーの神様である「海和俊宏」さんの著書、「海和俊宏のスラロームテクニック」に書かれていたことがベースにあります。この本では、踏み上げインスペクションの時代(昔はゴールから登ってインスペクションをしたんです)のコツとして、1旗門登るごとにゴールまでの滑走ラインを繰り返しイメージし、60旗門なら60回頭の中で滑ったというやり方が紹介されていました。今はワールドカップでも上からのインスペクションですが、頭の中で繰り返すという基本は変わらないのでしょうね。

ただ、これだけだと漠然としているのでもう少し何を考えているのか、最近(といっても20年ぐらいはたつ)の私の覚え方をメモしてみます。

■私のスラロームでのインスペクションのやり方
私がインスペクションで意識しているのは、
「まず地形を覚える」「ブロックごとに覚える」「滑っているイメージを作る」
の3つです。

「まず地形を覚える」
急斜面、緩斜面などの斜面変化がどこにあり、どの部分はライン取り重視で安全にいき、どの部分は真っ直ぐ目に入るのか、そのつなぎ目では何をするのか、といったことを決めます。

あとは、セットのラインを考えて、スキーを切り替えるところで斜面が落ちていたり、ターン後半から斜度が増しているような、無視して滑ると身体が浮いたり、つぶされたり、後傾になってしまうところをあらかじめ探しておき、滑るときの対策を滑る前に具体的に決めてしまいます。「ここは気をつけよう」では、気をつけることは出来ても対策を繰り出す前に通り過ぎてしまいます。そしてたいてい失敗します。


「ブロックごとに覚える」
スラロームのセットはたいてい同じリズムが続くブロック、もしくはリズム変化のブロックの組み合わせで構成されています。ショートカービングのスラロームになってから、よりこの傾向が鮮明だと思っています。

たとえば、
  • スタートしてから最初の6旗門は同じリズムのオープンが立っている。
  • スルーゲートがある。
  • 次の8旗門はオープンだけど、さっきより縦長に立っている。
  • ストレートが立っている。
  • 次の10旗門はオープンでリズム一定だけど、途中に斜面変化ありで急斜面へ。
  • ヘアピンが立っている。
  • オープンで4旗門
というように、リズムがそろったブロックが並べてある感じです。
同じブロックの中はリズムが一定だったり、定型化されたリズム変化なので、一個ずつの旗門を覚えることはあまり重要ではなく、リズムに乗ることが大事です。そしてリズムの切り替わる次のブロックでも、その新しいリズムに乗って滑ることが大事なので、どんなブロックがあり、その継ぎ目、構成がどうなっているのかにポイントを置くと、抽象化されて覚えることが減るので意外と頭に入りやすい気がしますし、セッターが何をさせたいのかが見えてくる気がします。

この原則に沿っていないことも時々あるのですが、それはまた別エントリーで書きます。


「滑っているイメージを作る」
これらの分析をしながら、スタートからインスペクションで降りてきたところまでを、滑っているイメトレをします。もちろん、そこまでに決めた対策も入れてです。カッコよくゴールできればバッチリです。



■まとめ
特に「ブロックごとに覚える」というのが、誰も教えてくれなかったけど、私が試行錯誤でたどり着いた結論です。
他にも色々細かい話はあるのですが、基本的に汎化して誰にでも共有できそうなレベルだとこんな感じです。

さらに、ストレート、ヘアピン、スルーゲートの攻め方をあらかじめ練習しておいて自動化(何の苦も無くするすると抜けられるように)しておくと、この「ブロックごとに覚える」方法がなじんでくると思います。

あとは、練習のときにインスペクションをして、1本目で滑るときにどれくらいインスペクション通りに滑ることが出来るのかをチェックするのが大事です。2本、3本と滑れば上手く滑れて当たり前なので、インスペクション能力を鍛える意味では1本目が大事です。

つっこみどころはたくさんあると思いますが、こんな感じでどうでしょう?
地形を覚えるのは難しいので、滑り慣れたコースはやっぱり楽です。本当は大会前にコースをフリーで滑って地形だけでも覚えておきたいところですが、現実にはなかなかその時間も取れず。結局全部インスペクションでやっつけています。

かいぞートレーニング終了

反省とか私の怪我とか書きましたが、怪我する前限定ですが内容の話もすこし。

今回は、という人をターゲットにしているので、まずは、フリースキー。

フリースキーでは、ポール慣れしてない人がはまりがちな失敗に陥らないように、その対策をします。
失敗のパターン1は、まっすぐポールに突っ込んで曲がりきれずに、ががががっとずらして入るパターンです。(失速して残念な感じになります)
失敗パターン2は、スキーを自分から回しすぎる滑りで、ラインをイメージ出来ないで、ががががっとずらして入るパターンです。(うち足を引っ掻けたりします)

どちらも足の負担が大きく、すぐに疲労で動けなくなります。

ということで、自分で回さなくてもスキーは回りますよ、と感じるためのレールターンの練習を。
本当はもっと止まりそうなぐらいの緩斜面でやればよかったのですが。ちょっとスピードが出すぎました。が、皆さん、いい感じでこなしていました。

レールターンの完成度がなかなかよかったので、谷回りから体を入れていく滑りも説明しました。
大袈裟にやったほうがわかるかな?というのを言い訳に、気持ちよく目一杯動いてみました。緩斜面ではかなり体得してるのと、私の欠点がばれないようにノンストックでやったので、いいお手本になれた気がします。

最後のはおまけでしたが、セットに入る前に何をしたいのかを伝えたつもりです。

これと、ライン取りの原則をあわせて説明すると、たいていきれいなラインを通ってくれます。

このお陰で、少々コースが掘れても、高くてきれいなラインになるので、危なくならないという効果もあります。

面白いのは、ネトロン立てて制約を増やしたのに、かえって動きにリズムが出る人が毎年いるんですよね。目印があって動きやすいのかもしれません。

セットはインターバル一定のオープンで20から30ターンぐらい。
結構ターン数が多かった気がします。

ビデオも併用し、自分の滑りと自分の感覚、回りの滑りと比較して何が違うのかが可視化され、動いた方がかっこいい、速い、安定するというのを体感してもらえたのがよかったかなと思います。

スラロームの基礎を考える マテリアル編 その5 (選手用スキーを使う?)

「基礎を考える」からいきなり脱線気味ですが、選手用のスラロームスキーとセカンドモデルのスラロームスキーの違いに触れてみながら、私達素人が選手用のスキーを使う時の留意事項を考えてみようと思います。

私が乗ったことがある少ないサンプルで話していることはご了承ください。最近だとATOMICとFischerぐらいしかわかりません。それと、選手用といってもお金をだせば誰でも買うことの出来る「市販の選手用」です。所詮素人のblogということをお忘れ無く。

見た目のレベルでもビンディングの取り付け位置やサイドカーブなどいろいろと違うのですが、それはショップなどで現物を見ていただくとして、滑ってみたときの違いを書きます。

滑ったときに大きく違うのは、エッジグリップの強さと、失敗時の挙動だと思います。
フレックスの傾向も大きく違うのですが、それは長くなるので別エントリーで。

■エッジグリップの強さ
ATOMICやFischerの選手用スキーのグリップはかなり強いので、ずらして滑るのは結構大変です。ずれを主体で使うなら、この手のスキーは扱いにくいです。
対策は、カービングをベースにした滑りを身につけることです。身も蓋もないねって感じですが、正しい使い方をすると言う意味でこれしか対策はないです。
でも、基本的な滑り方を丁寧に教えてくれるコーチを見つけさえすれば、そんなに難しいことではないと思います。シーズンの最初のころか、GWのレーシングキャンプに参加すると、基本的なテクニックのことを時間を割いてやっていることが多いので狙い目です。

■失敗時の挙動
失敗時の挙動ですが、これは主にテールの太さに起因してセカンドモデルと選手用で大きく違います。
選手用のスラロームスキーは、ターン後半の抜けをよくして谷側に落ちていくようにするためテール側のサイドカーブが緩く、幅も細いです。これと比較して、セカンドモデルのスラロームスキーやその同型であるデモ用小回りは、テール側も太く、後ろに乗ってしまったときにスキーが切り上がって身体が追いつけるように設計されています。
この違いを忘れて、ミスターンしたときに踵に乗って切り上げようとすると、選手用のスキーは前にすっぽ抜けてしまいます。このすっぽぬけは、膝を痛めるような大転倒につながるので、このリカバリ方法を変えることは意識する必要があります。
特に、スキーの向きと身体の向きが同じになってしまっている滑りとは非常に相性が悪いので、これからスラロームをやってみたいと思う人は滑り方を意識して組み立て直す必要があります。


考え方としてミスを救済すると言うより、上手く乗れたら速く安定して滑れるというスキーになっていると言えるのではないでしょうか。