(2014/1/3 誤字脱字を修正したらなぜか最新エントリーに。内容は更新されていません)
R&Dでブーツを作っています、という話をした後によく聞かれる質問と答え。
R&Dでブーツを作っています、という話をした後によく聞かれる質問と答え。
よく聞かれる順で書いているつもりですが、数えてないので何となくです。
それと、あくまで私の回答であって、山本さんの回答ではないことにご注意ください。
そんなに外れては無いとは思いますけど、回答内容のすりあわせまではしたことがありません。
誤解の無いようにと思って書いてたら、分量が増えてしまいました。
めげずに読んでくれるとうれしいです。
もう少し続きます。
Q8. O脚(X脚)、左右差は矯正できるの?
A8. 矯正はしてくれません
スキーブーツを履いてるだけでO脚(X脚)が治ってきたり、左右差を無くしてしまうような矯正はしてくれません。
でも、O脚やX脚などいろいろ身体の特徴や癖に対応して、あるがままの身体で真っ直ぐ立つことが出来る、よく動けるブーツを作ってくれます。
ここも考え方次第です。
足が真っ直ぐ入らずにねじれている状態になっていれば普段と条件が違うし、関節も動かないから思ったように動けません。これを解消するときに「体型を補正とか矯正して理想の姿勢を作るべきなのか」それとも「今のあるがままの姿勢を作るべきなのか」という話です。
私の考え方は後者で、あるがままの姿勢で作るというものです。
私の場合、スキーをしていない時間の方がずっと長いので、普段履いているスポーツシューズと同じような感覚でスキーに乗って運動できたほうがいいと考えています。裏を返せばスキーの時だけきついカントをつけるとか、足の長さの左右差を補正するようにプレートやインソールを入れるといった特殊な状態を作ることに意味があるとは思っていないからです。
もし、理想の体型に近づけるのであれば、ブーツを作る前に治療やトレーニングであらかじめ治しておく、という感じです。
ということで、矯正したり、極端な補正を入れない考え方に私は納得しています。
ですが、考え方は人それぞれなので、矯正するようなブーツやインソールを選択する人がいても私はいいと思います。その場合はR&Dではなく、そういうチューンをしてくれる人を探してそこを選ぶべきなのでしょうね。
Q9. そのインソール、意外と平らだね
A9. 私の足型通りなんです
これはA8.の「矯正はしてくれません」と内容としては被るのですが、私の足裏はこんなもんなので、カーブは地味になるんです。
インソールはいろいろ試しているので、たくさん失敗談があるのですが、矯正にちかい話の失敗談はコレ。
昔、シダスがウインドラスなんてキーワードとともに、つま先をあげてインソールを作ることをスキー雑誌でも喧伝していた時期がありました。たぶん、1998年前後です。今のシダスのホームページをみると、このキーワードも単なる一要素ぐらいの落ち着いた扱いになっていますが、スキー雑誌には「今年はこれだ!」ぐらいの勢いでタイアップ記事が載っていました。
当時これを見た私は、そこそこ有名なスキープロショップでさっそくシダスのインソールを作りました。
このときの店員さんも雑誌記事のとおり、
「めいっぱいつま先をあげて!扁平足なかいぞーさんも、本当はこれぐらい土踏まずがあるんですから!これ履けば土踏まずも戻ってきますよ!舟状骨の位置も上がるからシェルの修正も楽になるし」
といって、土踏まずをすごく強調した状態でインソールを作ってくれました。
「こんなにやっちゃうの?」
とか、
「そんな理由(シェル加工をしやすくするため)で舟状骨の位置を変えるのはおかしいだろう」
とは思いましたが、お店の中でブーツに入れて試着すると、
「すごく変わった」
という点で満足感があり、12000円ぐらいの料金を気持ちよく払ったことはよく覚えています。
ところが、早速、SSAWSへ行って試してみたところ全然ダメでした。
まず、足入れ段階で違和感があります。気温の高いお店の中ではシェルも適当にゆがんでくれましたが、寒いとそうはいきません。
さらに、いよいよ雪上に行くと痛くてたまりません。土踏まずが上がりすぎですごく痛いんです。特に、ロングターンで足裏に力がかかると痛くて痛くて。下手な足裏マッサージより痛くてスキーに圧をかけきれないし、動けないんです。結果は2時間ばかり格闘してお蔵入りです。
運動能力の高い選手に土踏まずの発達した方がいるのは事実ですが、だからといって私の扁平な足裏に、そんなインソールを入れても意味が無いということがわかりました。
これは極端な失敗例で、やり過ぎだったのかもしれませんが、
「理想に近づけるために矯正・補正する、という手法は加減が難しすぎる」
というのが私の中の結論となり、あるがままに作るべき、体が改善したらインソールを作り直すべき、と思うようになりました。
Q10. 結局どうなっていればいいの?
A10. 足がすとんとまっすぐ入り、動きたいところが動き、動かなくていいところが動かない、となればいい。
かけた金額とか時間で優劣が決まるわけでも無く、有名なお店を選ぶことがよいわけでもありません。
「足がすとんとまっすぐ入り、動きたいところが動き、動かなくていいところが動かないこと」
を満たしたブーツを履けば、技術的にもスキーは楽しくなりますし、もうブーツのことなんて気にかからなくなります。所詮、ブーツの選択とかチューンって準備作業ですからね。本番は、それを使って楽しく滑ることですから。
Q11. 高すぎない?
A11. 適切な価格と思うところを選んでください
お金は大事です。考え方やブーツの出来、価格、これらに納得のいくところをご自身で選んでください。
税金のように半ば強制的に徴収されるものであれば、高すぎるという批判も成り立ちますが、R&Dでブーツを作らないとスキーが出来ないわけではありませんし、誰も無理強いをしていませんので、サービスを買う人が納得していれば問題ないという話だと思います。
私の場合は、今、自分がやりたいスキーをやろうとした時に他にはない結果が得られるので、山本さんから提供された技術の対価として納得して払っています。
もちろん気軽に払える額ではありませんし、将来スキースタイルが大きく変われば必要性の判断は変わるかもしれませんが。
Q12. ブーツを安く作ってその分滑った方が上手くなるんじゃないの?
A12. そういう人もいるかもしれませんね
そういう人がいたり、そういう選択をする人がいても否定しません。
ブーツを作ることは準備であり、ゴールではありません。
自分が楽しく滑れるためにどうすればいいのか、納得する方法を選びましょう。
私自身はR&Dで作る前はその分も滑っていた訳ですが、ブーツへの不満が解消できませんでした。
「足がすとんとまっすぐ入り、動きたいところが動き、動かなくていいところが動かないこと」
という状態になってないまま闇雲に滑っても、これ以上上手くなれない、楽しく滑れない、と考えて今に至っています。
Q13. 盲目的に信じ込まされて高いお金払っているんじゃないの?
A13. それはないと思いますけど
山本さんはブーツやシューズといった工業製品を作っているエンジニア、技術者なので、我々、一般客を相手にしても理詰めでものを決めていくことを提案してきます。だいぶ一般客にあわせて話をしようとしている努力は感じますが、本質的にお客に過剰な夢を語って信じ込ませるようなことはしません。
昔、来期のブーツについて話し合っていたときに、
「横に倒す感覚のいいブーツがほしい。フレデリック・ニーベルグ(当時ドーベルマンを履いていた)みたいな大回りがしたい」
と私が言うと、
「横に倒す感覚のいいブーツというのは確かにあります。ただ、それを履いたからといってフレデリックニーベルグみたいに滑れるということはありません。滑りは本人次第ですからね」
と淡々としたものでした。
このときだって、
「それだったらもう、この選手用のブーツをうちでチューンすればばっちりだよ!」
と調子のいい店員さんみたいな話をすればお買い上げ決定なのかもしれないのに、そういう話は一切聞いたことがないです。
<脱線>
まぁ、私が会心の滑りをしても、それを見てニーベルグを思い浮かべる人はいないと思いますけどね。
</脱線>
ということで、山本さんの技術者っぽいところも人柄も私は好きですが、サービス内容はロジカルな判断の積み重ねなので、盲目的、というものとは対極にあるような感じです。
他の誰かが同じような考え方で同じような結果を出せるサービスを安価で提供し始めたら、冷静に比較して私はそっちに鞍替えするかもしれません。
本当に同じであればですけどね。
Q14. じゃあ、どうやってブーツ選ぶのがいいの?
A14. でっかい質問ですね。これは次回に。
1 件のコメント:
A14のいい答えはなかなかないですね。
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