新しいブーツで何を発見したのか、というお話し。
「発見」をキーワードに書こうと思ったのですが、当時のメモをみながら書いてみたら「驚いた」となってしまったので、そこが「発見」だと思って読んで下さい。
残念ながらスペシャルコースといえど、ブーツを変えただけで劇的に滑りが変わるなんてことは無いですし、使い方(=滑り方)を間違っていればかえって悪くもなります。
滑りを変えたいのであれば、道具の違いを丁寧に感じとり、頭を使って変えるべき動きを具体的に考えて、そして考えた動きを実際に試してみる、というステップを繰り返す必要があります。いろいろ面倒ですが、もう子供のころの様な直感でわかる年齢をとっくに通り過ぎてしまった私にはこういうプロセスが必要です。
実際には感じるだけじゃなくて、ビデオを使ったり、静止画を重ねてみたりして客観的にも見ていくので、観察して、考察して、仮説を立てて検証する、を繰り返すという感じです。
長い前置きですが、昨シーズンを振り返ると自分自身へのメモとしてはこれが一番重要なんで、書いておきました。
そういう肝心なことができずに右往左往した様は過去のblogにあるので興味のある方はそちらをどうぞ。
私自身が読み返しても
「全然分かってないなぁ、当時のオレ」
と思って恥ずかしくなるのですが、それもblogの楽しみの一つかと思って消さずに残してあります。
そんなわけで仕切り直して、観察、考察、検証を順番に繰り返してみたら次々と霧が晴れた感じでした。
意図して滑りをいじったのは2日ばかりあるのですが、まずはその1日目。
この2日で全てわかったというより、いったんそこまででいろいろ理解できたので、手を広げるより定着化させることに舵をきったので2日になったという感じです。
■1日目(2016/02/08)
頭の中を出発点に戻します。
今回の出発点は「膝をもっと伸ばしたポジションを取りたい。」というものでした。
それによって「高い姿勢で体重を骨格で支えてスキーの真ん中に乗れば、より簡単にスキーをたわませられるはず」と思いえがいたのですからこの感覚から確認していきます。
その初日となるこの日のテーマは「とにかく山回りの感触をつかむ」と言うことに絞りました。切替えとか谷回りといった他のことはいったん保留です。上に抜けようが何だろうが、とにかく気持ちいい山回りの滑り方を探すことに専念しました。
具体的には、
「スキーと胸の向きを正対させて過剰な外向を作らない」
「高い姿勢で軸を作って骨格で外足に力を伝える。」
みたいなことを考えて滑ってみました。
まずはフリースキーです。
斜面はフラットで硬いところ、斜度はスピードを出しても怖さを感じない程度の中斜面で、真っ直ぐ滑り出し、ぎゅーんと山回りで切り上がります。
とにかく意識を山回りに集中させるために余計なことは考えないで、単純に山回りを繰り返すところから再確認します。切替えも谷回りも外向とかもまだ考えません。ターン弧の振り幅も落差も考えません。知りたいのはスキーなり、ブーツなりに滑るとどうなるのかということです。背筋を伸ばしてできるだけ高い姿勢で、歩き出すのと同じような動きで、内側の足を前に出せば外側の手が前に出る、ぐらいの感覚で滑り出しました。
すると驚いたことに、1ターン目からもう違います。188cmのGSスキーが過去経験したことがないほどにしっかりたわんでグリップしてぐいぐい回ります。そして安定しているのにスピードもぐんぐんあがります。
GSスキーってR>30でもこんなに回るんだ!
まるでSLスキーみたいじゃないか!
と思いながら興奮して滑りました。
なんでこんなに違うんだ?と意識して観察してみると、スキーのたわみ方が違うことに気がつきました。今までも、少なくとも自分で得意だと思っていたSLスキーではしっかりたわませているつもりでしたが、この感触と比べれば今までのたわみ方なんてトップ側がくいこんでテール側がスリップしていただけでした。
テール側も含めてスキー全体がたわむってこういうことなのか!ということに驚きました。
(トップを使う感覚はあったので、それに対する相対的な表現としてこんな風になりました。特にテールを重視しているワケではありません。前置き無く説明するなら「トップからテールまで全体がたわむってこういうことなのか」という感じですね。)
再掲です。これを体感しました。
もちろん「スキーをトップからテールまで全体をたわませる」なんてことは文字では知っていましたが、このレベルで体感したのはこれが初めて、という驚きです。
たった一本滑っただけなのに驚いてばかりです。
次に2本目。
1本目で良かった山回りの感触をベースに姿勢というか、上半身の置き所を探ります。
上半身は思ったより被せて丁度いいみたいなんて書いてみたのですが、実はそう書いたあとも自分自身で半信半疑でだったので、これを確認します。
さっきはあまり考えないであるがままに滑りましたが、今度は上半身の置き場所をどこにするべきかを考えながら滑ります。
しかし、1ターンするだけで答えが見えてきて、2ターン目には確信に変わりました。
やっぱり、頭から背筋を伸ばして足裏までどんと体重がのるポジションで素直に傾けるだけの動きの方が効率がいいんです。圧倒的に体が楽ですし、スキーにもよく力が伝わってしっかりたわみます。
とういことで、上半身は思ったより被せて丁度いいみたいと書いてはみたものの、これもやめることにしました。
やっぱり前後に軸を折って効率がいいわけがない、と書いてみれば当たり前の結論に。
蛇足ですが、完全に股関節からの前傾をしないのではなく、必要な分は前傾します。自分の今まで思っていた角度よりは曲げない、という相対的表現です。
次に3本目。
さらに次のステップに進みます。
山回りの感触もつかめてきたのでもう一工夫。山回りでターンを最後までしっかり仕上げることを意識しました。
いつも「早いタイミングでターンに入り、早いタイミングでターンを終えたい」と思っていましたが、そういう高度なことよりも、まずは基本に忠実に「ターンの終わりまでしっかりスキーをたわませる」ことを優先して感触を確認します。
すると、スキーの動きがさらに変わりました。
ターンを最後まで仕上げようとすると、ぐいぐいとスキーが回って、感覚的には外スキーが山を登っていくような感じがします。
やれていることのレベルはともかく、感覚的にはTed Ligetyの山回り(修正)に書いたような感じです。こうなるとクロスオーバーが簡単にできて、あまり難しいことを考えないでも次のターンに入れます。
もしかして切替えって思ったより簡単なのか?
これだけタイミング良く、スキーと体の位置が切り替わるなら谷回りだって簡単だぞ?
今まで思い込んでいた物と違うことが次々と感じられて、どんどん気持ちよく滑れるようになってきました。あぁ、誰かにこのフリースキーの姿をビデオに撮ってほしい、、、。そう思ったのですがこの滑りは何も残ってないんですよねぇ。残念。
本当はもっと丁寧にフリーで見直して動きを定着化させたかったのですが、ゲレンデが混雑してきたこともあり、3本のフリーで切り上げました。
そして、ビデオに撮ってもらいたかったので、明らかに早すぎるけどポールに入りました。
自分として参考にしたいところを切り抜いた編集済み版(再掲)
恥ずかしい滑りも入っている未編集板(再掲)
滑り方を見直して最初のポールなので、ターンの距離感やラインが想像と違ったりして思った通りとは行きませんでしたが、自分としては「お。これはまだまだ伸びしろがあるぞ」と手応えを感じました。もちろん、フリースキーで感じたほどの感覚はポールの中ではできていないのですが、しばらくは山回りの感覚を基準にいろいろと見直して行けば、全体的に良くなるだろうと方向性が見えた気がします。そういう意味でこの動画は私にとって非常に重要な記録になりました。
おまけとしては、失敗した後というか、後半さらにラインが落とされた後に苦し紛れに出てきた昔の滑りは、体が暴れているのにスキーが動いていないという恥ずかしい感じが白日の下にさらされ、「これには戻りたくない」という動機付けという意味ではいい記録です。
と、なかなか自分としては大きく前に進むことができた1日目でした。
2日目の話があるのですが、長くなったのでここでいったん切ります。
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