2016年5月5日木曜日

スキーブーツR&Dのスペシャルブーツの感想(その1)

スキーブーツR&Dのスペシャルコースについて、1シーズン使ってみた時点での私の感想を書いてみようというのがこのエントリです。私が来年以降の自分自身向けのメモとして書いているのであれこれ長くなってしまいました。すでに十分長文なのですが、その2に続きます。


まず、今まで使っていたベーシックコースに対する私の認識の振り返りから。
ベーシックコースはざっくりといえば、足をまっすぐ入れることを目的にしています。
このため、完成度としては私が過去経験した中では段違いでしたが、方向性としては想像の中にありました。つまり、「こうなったらいいのにな」という中で、ものすごい完成度のブーツが提供されたという感じです。
もちろん方向性が想像の範囲の中だからといって「たいしたことが無い」ということではありません。「完成度もここまで上がると別物になる」という意味の感動はありました。たとえば、「足の向きとブーツの向きがぴったりあった状態で足がまっすぐブーツに入る」という話も、このレベルで実現されると痛みがなくなるだけではなく、脚全体が動かしやすくなって運動が大きくなったり、斜面のでこぼこを吸収しやすくなったりするという効果を実際に滑って体感でき、驚きでした。
でも慣れてくると、「こういう世界を求めていたんだな」という意味で想像の範囲の結果だったといえます。

ベーシックコースで作ったATOMIC STI-R

これに比べて、今回やってみたスペシャルコースは、いろいろと想像と違うことがあり、大きな効果を実感できましたが、滑りやそれ以外への影響も非常に大きかったです。

スペシャルコースは足をまっすぐにいれるだけではなく、運動したときの動いた感覚に対する調整が行われ、ブーツ全体の再設計がされて製作されると説明されています。私の目につく範囲でベーシックコースにはない大きな変更は「アッパーカフのカーブの変更」と「スネの前傾角の変更」でした。


「アッパーカフのカーブの変更」は、私は期待もしていないというか想像もしていない変更でした。そもそもアッパーカフを短く切るとか、切れ目を入れるとかならともかく、スネのカーブに合わせてアッパーカフ自体を曲げて調整する余地があるなんて思ってもいませんでした。
スペシャルコースで作ったATOMIC RedSter FIS 150
(画像は自主規制でちょっと加工してあります)

内容的には、見た目の違い(外に膨らんでいる)にも驚きましたが、何より履いてみた感覚として左右の安定感が段違いで驚きました。私は半月板の水平断裂を抱えているのですが、ブーツを履いている時の方が膝の負担が小さく感じるほど安定します。滑り方自体も膝を捻らない面もありますが、実際に滑っていても膝の疲れが非常に小さいです。これは想像もしていなかった効果を感じることができました。

「スネの前傾角の変更」は、今回スペシャルコースに期待していた一番の調整項目です。

STIとの比較。この差分だけ起こされている。

その効果は、外足をしっかり伸ばしてスキーの圧を捕らえているフォームが作れるようになったことにあります。

2月ももう中頃。初めてこのブーツの使い方がわかった日の滑り。

膝をここまで伸ばすと、今までのブーツでは重心が前に外れてしまいましたが、このブーツでは一番バランスよく立つことができます。床の上にたってもこれだけスネの前傾角や腰の位置が違うのですから、ターン中のフォームも当然変わります。

もっとお腹が薄ければ格好いいんですけどねぇ。

感触的には今までのブーツではブーツの前半分にしか乗れなかったのが、ブーツソール全体に乗ったり、踵に乗ってみたり、前の方に乗ってみたりと調整出来るようになりました。

このようにフォームが変わった結果、今まで以上に強くスキーに力を伝えることができて、例えば苦手なGSスキー(188cmのR>30)でも自在に回せる様な感覚を初めて得ることができました。さらには、初めて乗ったR>35のスキーでも普通に滑ることができました。斜面条件はそれほど難しくなかったというのもありますが、今までとは全然違う感覚でGSスキーを操作できたのは感激でした。
スキーへの力の伝わり方や安定感は期待以上でした。まさにこういうブーツがほしかったという感じで非常に満足しています。

上記のとおり、たしかにスペシャルコースのブーツは、私にとって素晴らしい結果をもたらしてくれました。
しかし、この「スネの前傾角を起こす」という変更は非常に影響の大きい変更で、私自身、実際に滑ってみて初めてこれが劇薬なんだということがわかりました。
そして、なかなか頭も体も追いつくことができず、滑り方を見失って、
「このブーツはオレには手に追えない代物だったのか!?」
と頭を抱えて路頭に迷っていたのでありました。

それがどういうことか、という話が本題だったのですが、長くなったので続きは次回で。

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