2016年10月31日月曜日

星瑞枝さんのオフトレキャンプに行ってきた。

いつもは佐藤翔さんにお世話になっているのですが、単身赴任先の神戸から近い大阪で星瑞枝さんオフトレキャンプがあるということで参加してきました。

カンダハー大阪店の企画ってのもとっつきやすいし、s_takkyさんが最近興味大になっているようなので、それならばと申し込みました。

本当は二日間のキャンプなのですが、出張の都合で初日だけの参加になったのは残念でしたが、共感できたり学べたりして非常に有意義でした。

内容については私が劣化コピーで何かを書くより、イベントに参加して直接聞いてもらったほうがいいのであまり書きませんが、星瑞枝さんのコーチングにはいろいろ驚かされるものがあったので、その話を書いてみようと思います。

まず一番驚いたのは、星瑞枝さんが「しゃべれるコーチだ」ということです。
これは「彼女はおしゃべりだ」という話ではなく、「情報を構造化して整理することができ、それを場面に応じて引き出し、的確にしゃべることができる」という意味です。

加えて、しゃべる言葉が文章として正確であるということです。
例えば、主述が一致しないような説明は聞き苦しいだけでなく、なかなか頭に入ってきません。正確な文章で発信された情報は、頭に入ってきやすく、自分の運動にフィードバックしやすいです。
アスリートに限らずなかなかこんな風にはしゃべれないと思います。


次に星瑞枝さんの説明のアプローチにも驚きました。
感覚的な表現をできるだけ使わず、客観的な情報で運動を説明しようとしています。
スキーは複雑な運動なので、最後は感覚的な表現になるかもしれないのですが、その手前に言葉で説明できることがたくさんあるはずです。でも、これを説明するのはなかなか難しいし、そういう人はあまりいません。なぜならその人自身のスキー経験の中で、そういうことができる人にスキーを教わってないからです。
にもかかわらず星瑞枝さんは、この運動では何を目的に、どの関節を動かすのか、どの筋肉を使うのか、どの方向に力をかけるのか、ということを一つずつ説明していきます。

最後に星瑞枝さんの技術論にも驚きました。
技術論としては、選手時代の経験をもとに組み立てた独自のものだそうですが、スキー雑誌に出てくるような流行りの言葉や昔ながらの伝統的な指導理論なんかとは切り口も内容もかなり違うオリジナルなものでした。
ここで私が驚いたのは、使っている単語は違うものの私がスキーブーツR&Dのスキーセミナーなどで聞いたブーツ設計時にモデルとしている運動と、星瑞枝さんの技術論の内容がほぼ一致していることでした。山本さんとは面識もないそうですが、アスリートが効率を求めて研究すると同じ結論に辿り着くんですね。


あんまりにも理路整然としているので不思議に思い、「どこでこのスタイルを身につけたのか?」「どういうコーチがいたのか?」と本人に聞いてみました。すると、怪我を契機に自分自身の運動を分析していく中でこのアプローチを身につけたんだそうです。
やっぱり与えられたものより自ら欲したものが身につくってことなんでしょうね。
すばらしい。

と、大絶賛なわけですが、一方、この独自のメソッドを頭で理解して、その通りに体を動かせるようになるには、それなりの時間が必要なはずです。だから、いきなり雪上のトレーニングに参加しても効果は限定的になるはずです。

この点についても聞いてみたところ、
「そうなんです。いきなり雪上から参加しても理解できる範囲は限られてしまうんです。」
「だから一年を通して沼田でトレーニングをしているんです。雪がないときに覚えることはたくさんあるんです。」
「選手時代は内緒にしていたけど、引退してからは逆に教えていきたいんです。」
と、満面の笑みで答えてくれました。

理論だけでなく、選手時代の経験に裏付けされた練習メニューもセットであるってのがすごいですね。

最後に蛇足ですが、下手に物理学を引用して「とんでも科学」になっていないのも好感が持てます。権威付けより自分自身の言葉で語ることを重視しているのがいいですね。

ついでに言えば、本人は写真よりもさらに素敵で、笑顔の似合う美人さんです。
だからほめているわけではないのですが、才色兼備のすごい人がいるなって話でした。

2016年10月30日日曜日

歩くことからはじめてみる

私の昨シーズンは、軽い気持ちで「ポジションを変えてみたいと思って思ってブーツを作り直した」ところ、「やりたいことは根本的に滑り方を変えることだった」、という私の中では大事件のあったシーズンでした。

自分でも納得のいく感覚がつかめたのはシーズンも終盤になってから。やっとつかんだ感覚なので次のシーズンでもできるようにとふりかえってきましたが、それを忘れないようにメモしておこうというのが今日のお題。「歩くことからはじめてみる」といっても、ウォーキングからやりますよ、って話ではなくてスキーのイメトレの話です。


さて、いろいろと再考してきましたが、自分にとって新しい動きをつかめるきっかけにもなった「歩く」ことを基本に考えるのが良さそうだと落ち着きました。

■歩くときを思い浮かべると、「たいてい手も足も前後に動かします。」
横に体を振ったり、ひねったりはしません。
なので、スキーをするときも基本的に手も足も前後に動かします。
体を捻る動きは、斜面を滑っているからそれによって出てくる動作で、それに逆らわないように、もしくはそれを先取りするための動作で、あくまで補助動作だと理解します。
なので、胸の向きは常にスキーの進行方向と同じにします。

■また、歩く時を思うかべると、「背筋も伸ばして歩きます。」
背中を丸めたり、腰から折ったりもしません。
「走る」という領域に入れば応用も出てきますが、「歩く」ような基本の滑りでは背中は丸めませんし、腰から過度に前傾したりもしません。
頭から足裏に体重が乗っかるポジションをキープするため、背筋も膝も伸ばします。

■さらに、歩く時を思い浮かべると、「伸ばしている足と反対の足は畳まれているし、伸ばしている足と同じ側の手が前に出ていて、反対側の手が引かれています。」
横に広げたりとか、羽ばたいたりしません。
私は日常生活で「ナンバ走り」もしていませんので、スキーでもしません。

なので、スキーで荷重しているタイミングでも、外足が伸びて内足をたたむ。
これにあわせて腕も交互に振ります。
バランスが取りやすいように両手を開きますが、その程度。


■もっと、歩く時を思い浮かべると、「体重を一番支えている時は、かかとの骨の真ん中かその少し前に乗っています。」
私の世代は「拇指球荷重で」とたくさん言われましたけど、すべてのフェーズで拇指球に乗っているなんてことはありません。体重を一番支えているときは立っているときと同じで、かかとの骨の真ん中かその少し前あたり。これはブーツの前傾角の量で若干前に移動したりしますが、だいたいこの辺。

もちろん前後の移動もありますが、その移動範囲も目一杯前に移動しても拇指球と小指球を結んだ線まで。後ろに乗っても踵の骨の真ん中まで。足を入れ替えている間は両足にまたがって中途半端なときがあるけど、体重を乗せている時はこれくらい。

そしてその前後の移動も、歩く動作に伴い移動するので、スキーにおいてもターンの動作に伴って移動します。
もちろんここではリカバリとか斜面の凹凸とかそういう応用の話はおいてシンプルに考えます。


■もう一つ、歩く時を思い浮かべると、「足首は案外伸びています。」
なので、「ブーツのタンを前に押すように」という言葉も要注意です。
ブーツの後ろに寄り掛かるような後傾は、そもそもブーツとスキーのテールがないとできない「歩く」では成り立たない動きないのでしてはダメなのですが、
足首を前にグイグイ入れるような動きも実は「歩く」にはないので、やりません。
「ブーツのタンを前に押すように」は、「ブーツのタンを前に押す(ぐらいの気持ちで大げさに動いてごらん。きっとわかるよ)」とアドバイスの省略だと私は理解することにしています。
そもそもブーツで前傾角が決まっているで、それ以上押したら跳ね返されちゃいますからね。(私はこれでハマった。私の去年の12月ぐらいの動画にそういうのがあります。)

と、こんな感じを動きのベースとして考えると、シンプルにスキーができる気がしています。
ついでに言えば、「歩く」は連続動作なので、これをイメージするとスキーをしている時も運動を途切れさせないで連続的に動ける気がする、というのが昨シーズンの実感です。


もう20年以上前ですが、ツバクロで見谷スキースクールにお世話になっていた頃、
「基本は外足だ。そして競技スキーは走るように滑るんだ。」
と見谷御大もおっしゃってました。

一応、競技スキーを志向していることから見谷御大のおっしゃるとおり「走る」をモデルにしたいところですが、いきなり応用にはいけないので、まずは基本の「歩く」ことをモデルに考えて滑っていこう。

ピスラボでもいきなり昨シーズンの続きをやろうとして、ダメダメな動きになっていたから、丁寧に組み立てていくほうが遠回りのようでいて結局近道のはず(と、毎年言っている気がする)。

さぁ、雪が降るのが楽しみだ。


2016年10月16日日曜日

かぐらでピスラボデビューしてきた

丸沼高原スキー場で初めて体験したプラスノーは、思った以上に楽しかったので、今回はかぐらスキー場のピスラボに挑戦してきました。
と、タイムリーに書くはずだったのですが、書くのをさぼっていたらちょっと前の話になってしまいました。滑ったのは9月30日です。

ちなみにこの日は前回、丸沼をコーディネートしてもらったATさんではなく、TKさんに連れて行ってもらいました。


天気はガスが心配されましたが、結果的には曇天、霧雨と、マットが良く滑り、日差しもキツくないピスラボとしては好条件でした。

これは8時過ぎの駐車場の風景
■道具
スキーはやっぱりレンタルです。これはスキー学校でレンタルした物です。2500円/日でした。

ATOMICのLX 165cm R15.5です。

普段のスキーと同じATOMICなので、モデルが違ってもサイドカーブとかのフレックスパターンに違和感はなく、扱いやすいスキーでした。
ノーマルのこのスキーはピスラボ専用ではありませんが、ソールがステンレスに張り替えてあります。が、思ったより滑りませんね、ステンスソール。
(追記)
滑走性は、オガサカのAG-MXに、地元スキーヤーの謎の液体が最高に滑りました。
それを例外として比較しても、ステンレスソールは案外滑らないのかも。
ワックス塗ればいいのかな?


ただ、エッジが甘くて引っかからないので1本滑ってすぐに研ぎ直してもらいました。1回は無料で面倒見てくれるようです。

■散水
ピスラボもプラスノーも散水されていることは知っていたのですが、かぐらのピスラボはこんな風にけっこう盛大に水が撒かれていました。



この動画は50倍速にしてありますので、インターバルはよくわからないと思いますが、散水量がわかると思います。直撃するとびしょ濡れになります。私のケイオーデーツーで買った1500円のカッパも湿り気味。顔にもかかるのでサングラスは必須です。
グローブはリフトの上で絞れるようなやつか、ちゃんとした防水の物がいいですね。私の自転車用のはもうぐちゃぐちゃでした。

それと、水平タイプのスプリンクラーが直撃すると、スネのあたりから水が入ってきてブーツの中もぐっしょりと濡れていました。丸沼に比べてかぐらにスキーウェアみたいな完全装備の人が多かったのは、この散水対策なのかも知れません。

とにかくまじめな防水対策が必要です。かぐらでは。

もしかしたらピスラボ全般がそうなのかもしれませんが、そこはわかりません。

■滑ってみた
滑った感じでは、たしかにグリップしずらくズレやすい感じでした。
使いふるしてエッジが垂れたスキーだと、ほしいところにエッジがないので使い物にならない感じです。研ぎ直してもらったら扱いやすくなりました。

かぐらのピスラボのマットは、かぐらのプラスノーのマットに比べると、より性格が極端な気がしました。時々全くズレていないような不自然なカービングになってしまったり、ターンミスでずれると、すぱーんと足が流れたり。
同じスキーを使ってないから厳密には比較できませんが、ピスラボの方がすこし難しいかもしれません。丸沼のプラスノーの方が毛足が長い分、ずれに近い感触がある気がしました。

そんな感じでちょっと怖かったですが、慣れてくれば雪上と同じように傾けて滑ることができます。

でも、そういう難しさを差し引いても、かぐらはコースが長くて楽しいですね。スピードも出るし。



■コブだって滑った
コブも一定リズムの物が設置されていて、楽しく挑戦できました。
私のコブのレベルは、
・浅いコブなら無視して滑る。
・無視できないコブなら滑るのではなくて降りてくる。
・コブを滑れるようになりたいなぁといいながら、ほとんど練習しない。
という程度なので、レベルは推して知るべし。

今回は前回、丸沼でテク持ちの会社の先輩に教わったライン取りを習得すべく、反復練習してきました。5本くらいですけど。

facebookにも書いたのですが、サマーゲレンデのコブは時間が経っても形が変わらないので、私の様なレベルでも基本練習するにはもってこいですね。

本物のコブは、時々刻々と形を変えるので、私のレベルだとさっきまでは滑れたのに今は滑れないとか、逆に何も変えたつもりもないけど原因不明にうまく滑れた、となってよくわからなくなりがちです。
しかし、サマーゲレンデのコブはいつでも同じ条件で、変動する条件は自分の滑りだけなので、うまくいってもいかなくても原因がわかりやすいのです。まずはライン取りの基本や、曲げ伸ばしのリズムあわせの基本を覚えたい私にはいい条件でした。


■その他
粟野さんにSSAWS以来の再開というか、挨拶を交わしてきました。数回しか会ったことがないので私のことを個体認識しているわけはないのですが、参加したイベントのことや当時のことは良く覚えていたようです。あいかわらず男前でした。

あと、丸山貴雄デモがレッスンしていました。なんか上手いのがいるなぁと思ってみていたら、一緒に行ったTKさんが教えてくれました。

ただ、もう痛めた膝が痛くて思ったように動けず、そこが残念でした。
冬を前にこの痛みはつらいなぁ。医者に診せて、我慢すればいい範囲なのか手術が必要なのか診断してもらわないと。寝てても痛いのでちょっとやばいのか?